Happy garden.【短編】
「うん、せっかくのお雑煮だし、あんまり手抜きしたくないのよね。
お弁当とか手早く作りたいときは粉末のダシの素を使うけど、やっぱちゃんとダシをとったほうがおいしいもの」
「せやな、ありがとう。益々楽しみになったよ」
誠司さんのはにかみ顔を見るだけでも、手間をかける価値があるように思える。
いつもは自分のための料理ばかりだけど、人のためにするって楽しいな。
すべてそろったので、カートをレジへと向けながら、思い出した。
そういえば、亡くなった母は料理にこだわりがあったのか、きっちりダシをとる人だった。
お弁当にも冷凍食品さえ使わなかったので、わたしは今でも冷凍食品を食べることができない。
手料理で舌がなれると、それより味の落ちるものは受け付けなくなるんだ。
そういった母の料理の影響もあって、化学調味料のダシはあまり使いたくならないのかもしれない。
レジにならび、清算を済ませる。
お金はお礼なんだから払うと言ったのに、誠司さんに払われてしまった。
これではお礼と言えるのかどうか怪しいけど、その分、がんばっておいしいお雑煮を作ろう。