【企】あんたなんて大ッキライ!!




「ここ……」


着いた先は前に来た高台

あの日と同じように夕日が街並みを照らしていた。


どこを見てもオレンジで。

綺麗な夕日に心奪われる。



『なんで…』


夕日に見とれていたあたしはその声で我に返る


『俺…お前になんかした?』

そう聞かれてもあたしは何も言わなかった。


裕貴は…何もしてない。

いや…あたしに、嘘をついた。


何もしてないワケじゃない。



『あー…あれか?

あの噂のこと??』

あたしはそれでも何も答えなかった。


裕貴…きっとあんたはあたしにいっぱい嘘ついたんだよね?


あの真っ白のヘルメット

あれもきっとあたし専用なんかじゃないんでしょ?


そしてこの場所

他にも何人かいる彼女とも来てるんでしょ?



『…………おい…っ』


知らない間に涙が溢れていた。


あたしは信じてたんだ。


あたしは裕貴の特別


裕貴と1番近いのはあたし


そう、信じてた。


だからあの噂を聞いたとき

ショックなんて言葉じゃ足りないくらいの衝撃を受けた。



いつも通りを装うのが精一杯で。

もう…我慢できなくなった。









< 23 / 27 >

この作品をシェア

pagetop