【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
「うわっ。やめろ、聖良…! さわんなって 」

「……あれ?」

不思議に思って龍也先輩の顔を覗き見る。

先輩は拗ねたようにソッポを向いて、あたしと視線を合わせようとしない。

「……どういうこと? 怪我…治ってる?」


包帯の下の先輩の手は、怪我なんてしていなかった。

高端先輩と安原先輩が苦笑いをしてあたしを見ている。


「どういう事ですか?あたしをからかっていたの?」


龍也先輩が困ったように天井に視線を泳がせているのを見て、高端先輩が笑い出した。

「あはは、バカ龍也。下手なウソつきやがって。」

「暁、うるさい、黙れ!」

「黙らないね。おまえ、じれったいんだよ。
そんな遠まわしな事しないで、好きなら最初から素直に告白していればいいのに。」

「ば、ばかっ!なにいってんだよ」


高端先輩が「なあ?響。」と言って安原先輩を振り返る。


「暁の言う事は間違ってねえと思うぜ?龍也。その娘のこと好きなんだろ?」


――!


あたし?




< 10 / 383 >

この作品をシェア

pagetop