【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
あたしは呆然として手を擦る龍也先輩と
頭を抱える高端先輩を見比べる。

入り口付近では安原先輩が、お腹を抱えて笑っていた。

安原先輩も美形トリオの一人だ。

この三人が揃っていると圧倒される雰囲気がある。


「暁。杏ちゃんに言うぞ?お前の大事な杏ちゃんにな」


龍也先輩はからかうように高端先輩をもう一発殴る。


……だから、その手怪我してるんでしょ??


「ばぁか、杏は関係ないだろう?
もっと目の前の問題のほうを見ろよ」

高端先輩は頭を擦りながらも、してやったりと言わんばかりの笑顔をあたしに向けた。

・・・・・・?え?なに?あたし???

何が問題なんだろう?あたし、何かしたっけ?

不思議に思い龍也先輩を見る。

先輩の手に巻いた包帯が解けていた。

さっきぶった時に緩んだらしい。

「あ、龍也先輩。手!大丈夫ですか?
ああぁっ!包帯外れてますよ?見せて下さい。」

「え?ああ、いいよ。自分で出来る。」

「だめですよ。見せて下さい」

「いいって、構うなよ。」

龍也先輩がすごく動揺している。

珍しいな。

どうしたんだろう。

ふと、嫌な予感がした。

……もしかして

怪我が酷くなって、あたしに見せたくないとか?

サーッと血の気の引く思い。

一度ならずも二度までも怪我をさせたとなっては、もう、申し訳ないでは済まない。


「だめっ、見せてください。」


あたしは血相を変えて無理矢理先輩の腕を取った。



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