【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
「ほら、ココ違うだろ?」

地獄の時間

あたしは、今日もご褒美を貰えそうに無い事を確信し始めていた。


あたしの傍に腕を付き、メモ紙にスラスラと計算をしていく先輩を、恨めしげに見つめる。

包帯の巻かれた腕は痛々しいけれど、以前ほどに痛みは無いみたいだ。

あたしはふと、気になっていたことを聞いてみた。

「先輩、あたし、その腕が治るまでお手伝いをする約束でしたよね?
その…腕の具合っていかがなんですか?まだ、かなり痛みます?」

「うん、痛いよ。前ほどじゃないけどね。
何?俺の手伝いをするのがそんなに嫌なの?」

「え?いえ、違います。
ただ、こんなに長引くと思わなかったので、責任感じちゃって」

先輩の瞳が一瞬揺らいだような気がした。

メガネのレンズに光が反射しただけなのかもしれないけれど
何だか、少し哀しげで辛そうだったから…

あたしは何も言えなくなった。


「責任感じなくていいよ。あれは事故だから。それに…」

先輩が何かを言いかけて言葉を止めた。

その視線に誘われて入り口を見ると

先輩の友達がドヤドヤと入ってきたところだった。






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