囚われのアゲハ蝶
私は黙って李音様が貸してくれた上着を頭に羽織っていた。
その上着からはフワッと優しいシャンプーの香りがした。
恐々と窓の外を眺めてみる。
そこにはあまりに眩しすぎる世界があった。
もう私はおもてを歩く事はそうそうないだろうなと思った。
―キィ…
李音様が急に車を止める。
「降りろ、着いたぞ」
「……」
「こっちだ」
私は黙って車を降りて李音様の後を着いていった。
なにやらピンク色の可愛らしい建物の中に入るみたいだけど。
一体ここはどこなんだろう?
おずおずと遠慮がちにその建物に入っていく。
中では李音様が女の人と話をしていた。
「コイツのこのみっともねー頭を何とかしてくれ」
と言い、私の頭に被せていた上着を剥ぎ取った。
上着の下からはあのボサボサの髪が現れた。
「あらあら、せっかくの可愛い顔がもったいないわ!ささ、こっちに座って」
言われるがまま小さな黒い椅子に座った。
そして白いタオルとケープを取り付けられる。
そして昨日髪を切った普通のはさみとは全然違うちゃんとした美容師のはさみが軽やかな音を立てながら私の髪を整えていく。
「さぁ、出来たわ」
そっと目を開けてみた、目の前に映る私の頭はさっきまでとは違うちゃんと整った綺麗なショートヘアーに仕上がっていた。
「李音様こんな感じでいかがかしら?」
「おー、んじゃ会計はこれで」
李音様は財布から金色のカードを取り出して、それを店員に差し出した。
それを見て慌てて、自分の財布を探した。
「え!ちょっと待って、私が払いま…」
「いい、これは特別」
李音様は一度も振り向かずに言葉を遮った。
「でも…」
「いいから、黙ってろ」
結局李音様がカット代を払うと美容室を出て
お互い会話なしに車に乗り込んだ。
その上着からはフワッと優しいシャンプーの香りがした。
恐々と窓の外を眺めてみる。
そこにはあまりに眩しすぎる世界があった。
もう私はおもてを歩く事はそうそうないだろうなと思った。
―キィ…
李音様が急に車を止める。
「降りろ、着いたぞ」
「……」
「こっちだ」
私は黙って車を降りて李音様の後を着いていった。
なにやらピンク色の可愛らしい建物の中に入るみたいだけど。
一体ここはどこなんだろう?
おずおずと遠慮がちにその建物に入っていく。
中では李音様が女の人と話をしていた。
「コイツのこのみっともねー頭を何とかしてくれ」
と言い、私の頭に被せていた上着を剥ぎ取った。
上着の下からはあのボサボサの髪が現れた。
「あらあら、せっかくの可愛い顔がもったいないわ!ささ、こっちに座って」
言われるがまま小さな黒い椅子に座った。
そして白いタオルとケープを取り付けられる。
そして昨日髪を切った普通のはさみとは全然違うちゃんとした美容師のはさみが軽やかな音を立てながら私の髪を整えていく。
「さぁ、出来たわ」
そっと目を開けてみた、目の前に映る私の頭はさっきまでとは違うちゃんと整った綺麗なショートヘアーに仕上がっていた。
「李音様こんな感じでいかがかしら?」
「おー、んじゃ会計はこれで」
李音様は財布から金色のカードを取り出して、それを店員に差し出した。
それを見て慌てて、自分の財布を探した。
「え!ちょっと待って、私が払いま…」
「いい、これは特別」
李音様は一度も振り向かずに言葉を遮った。
「でも…」
「いいから、黙ってろ」
結局李音様がカット代を払うと美容室を出て
お互い会話なしに車に乗り込んだ。