討竜の剣
食事代を払って酒場を出る。

腹ごしらえも済ませたし、もうひと仕事してくるか。

腰の剣に手をかけて。

「おい」

俺は後をついてくるナハトに振り向いて言った。

「……」

無表情のまま、ナハトは俺を見つめる。

「ついてくるな。俺はお前の依頼なんて受けない」

「……」

無言のまま、しかし彼女の瞳は雄弁に語る。

『他に頼れる人はいないのだ』と。

祈るような瞳で俺を見る。

「自業自得だろう」

俺は背を向けた。

「何もかも科学とやらで解決しようとする…俺達火の民の嫌いな、頭でっかちの水の民によく似てるよ、あんたらは」


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