討竜の剣
息を荒くして、俺はそれでも意識を集中させる。

もう俺に余裕はない。

反撃の手数も少なくなってきていた。

逆に汚竜の猛攻は勢いを増す。

早くこの化け物を倒して、ナハトも探さなければならないのに…!

焦る気持ちが動きを乱す。

「つっ!」

汚竜の牙が体をかすめた。

出血。

その俺の血を見て興奮したかのように、汚竜が天高くに轟くほどの咆哮を上げる。

…くそ…。

呼吸を乱しながら、俺は考えた。

思い出せ、ナハトは何と言っていた?

再生竜はどんな傷でも再生させる…腐蝕した剣すら甦らせる…言い換えれば、どんなものでも元の姿に再生させるという事…つまり…。

ナハトの思考を読み取れ。

つまり…ナハトは何と言おうとしていた…?

考えあぐねても答えは出ない。

それどころか。

「!!」

思考に意識を奪われるあまり、汚竜の次の攻撃に反応が遅れた!

「くっ…!」

回避が間に合わない!

歯噛みする俺。

その時。

「竜滅砲…発射…!」

湖岸にやっと上がってきたナハトの竜滅砲が、汚竜の動きを止めた!

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