討竜の剣
俺達の目の前で、汚竜は驚くべき変化を遂げた。

いや、変化ではない。

これは…元の姿に戻っているというべきか。

汚竜は再生竜の鞘の力を借り、汚染物質の影響から逃れて元の竜の姿へと戻っていったのだ。

信じられないほどの再生能力。

これが再生竜の鞘の真の力…!

元の姿に戻った竜は、三つ首でもなく、汚竜ほどの規格外の巨体でもない、この世界では珍しくもないような普通の竜となっていた。

しかし、その闘争心は衰えていない。

普通の竜に戻ったとはいえ、そこは古の魔王が生み出した魔物。

凶暴な本能を剥き出しにして、俺達に突進してくる!

「……」

俺は剣を握り締めた。

思い出す。

俺が握っているのは討竜の剣。

希少種と呼ばれる強力な竜種達から素材を集め、汚竜を討伐する為に作り上げた究極の竜殺しの剣。

ならば、この剣が只の竜相手に後れを取る筈はない…!

俺は大きく剣を振り上げた!

「これで…終わりだぁっ!」

残る最後の力を振り絞り、俺は竜とのすれ違い様の一瞬に全てをかける!

渾身の力を込めて振り下ろした剣は。

「!!!!!」

竜を頭頂から尾の先端まで、真っ二つに両断していた。

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