討竜の剣
十匹以上いた駆竜の群れを全滅させ、その魔物は悠然と立つ。

頭部の鋭く巨大な角、銀色の表皮、瞳孔のない凶暴そうな眼。

鼻息も荒く、魔物は見上げるようなその全身を俺達の前に現した。

…こいつの目撃数が少ない理由が、わかったような気がする。

こいつはさっきの駆竜のように、岩場の隙間から突然襲い掛かってきて、獲物を一口で食ってしまう。

普段は姿を見せない。

だから目撃される事がないんだ。

「こいつが…刃竜か…!」

俺は圧倒されたように、押し殺した声しか出せなかった。







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