クライシス
「いえ、あの訓練の時に、三宅先生が私を背負って山を降りてくれました。あれが無ければ私は足だけでは無くて、命を失ってました」
「なんで、今回は我々に協力してくれるんだ?」
二谷が尋ねる。雄介も思った。
「もちろん、三宅先生にも恩義は有りますが、それ以上に私はこの国を呪っています。私はハーフなので小さい頃から苛められていました。そして両親共々、死んでしまった瞬間に国に取って、私の存在意義が無くなりました。こんな場所に住まされて仕事もありません」
「なるほど。で、今回我々が支払う報酬が、目的と?」
「平たく言えばそうです」
二谷は笑う。
「いや、正直で結構。もし万一、北朝鮮の当局が密告のリベートを持ち掛けて来ても、我々はその倍を払うので、よろしく」
「はい。ありがとうございます」
ターナーは頷いた。
「で、一応用意はしてくれているか?」
三宅が尋ねる。
「はい。潜入する軍事研究所の見取り図とそして、武器、器具の諸々です」
「よし。じゃあ、作戦の打ち合わせをするぞ」
二谷がそう言った。

























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