クライシス
二人は顔を見合わせた。
「いえ。特には」
「そうか。スマンが助手席の窓を開けてくれ」
「はあ……」
運転手は「なんで助手席を開けるの?」と思いながらも窓を開けた。
助手席の方に、歳を取った保安員が近付いた。
「悪いがそれぞれ、これを見てくれ」
そう言って保安員二人はスプレーを取り出すと、いきなり二人の技師に吹き掛けた。
「なーー」
二人は声を出したが、遅かった。薄れゆく意識の中で、ハンカチで鼻と口を押さえた保安員の顔が見えただけだった。
二人がそのまま意識を失いグッタリすると、保安員に扮した雄介と三宅は親指を立てた。
「悪いね。一日立てば目が覚めるガスだから」
そう言って雄介は何も言わない二人に話し掛けた。












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