クライシス
その時、三宅が青い顔で戻ってきた。そして雄介に明るい声で言う。
「部長のバカが、またパスを忘れちまったらしいぞ!とにかく早く終わらせてセンターに戻らないといけないな」
そう言ったが三宅の顔は引きつっている。
雄介は意味が分からないが、急げと言うのは伝わった。
若い士官も少し態度がおかしい。明らかに何か不審な感じがつたわって来ている。
雄介は画面に顔を戻す。若い士官が別の士官に呼ばれ、部屋から出た。
三宅が小声で囁く。
「不味い事に成った。センターから研究所に電話が来ている」
その言葉に雄介は三宅を見た。
「どうなんだ?」
三宅が小声で尋ねる。
「今、フォルダをコピーしてます。パソコンが古くて重いんですよ。中々コピーが進まない……」
雄介が焦った声で呟く。
三宅がチラリと士官を見た。彼は部屋の外で別の士官と喋っている。そして、チラリとドアの窓越しに三宅達の方を見た。もう一人の士官が三宅達を指差した。
三宅の額から汗が流れ始めた。
「市橋、ヤバイ見つかったかも……」
三宅が日本語で言う。雄介の鼓動が速くなった。
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