クライシス
雄介は入り口の方を見た。別の士官が廊下を走っていく。雄介達に付いていた士官が部屋のキーを挿して部屋に入ろうとしていた。
「市橋!まだか!」
三宅はもう日本語しか喋らない。
「待って。よし、完了……!」
雄介は急いでUSBメモリーをポケットにしまった。その瞬間ドアが開いて若い士官と、その上官が急ぎ足で入ってくる。
「あ、一応、ここは終わりましたーー」
雄介が引き攣った顔で、そう言うと上官はいきなり銃を突き付けた。
「貴様ら何者だ?今、センターの者から電話があった。だが、貴様らとセンターが言う社員の特徴が全く合ってない」
上官が睨みつける。すると三宅はふと笑みを浮かべた。
「ようやく、気が付いたか。少し時間がかかりましたね」
「何だと?」
上官がそう答えた瞬間に、雄介は愛ポケットから紙を取り出した。
「我々は人民軍保衛司令部、監察課の者です。秘匿部署の為に身分は明かせません。これが、今回の司令部からの抜き打ち検査証です」
そう言って取り出した紙を上官に見せた。
「司令部にご連絡をして頂いて結構です。今回の結果に関しては追ってご連絡をさせて頂きます」
上官と集まった士官達は紙を見て顔を見合わせている。
「では、失礼。おい、行くぞ」
二人はそう言って彼等の脇を抜け、廊下に向かった。
「お待ち下さい」
二人の背中から声がかかる。雄介はドキリとしながら、ゆっくり振り返った。
「ね、念の為、確認だけさせてもらえますか?それまでお待ち下さい」
三宅は再び笑うと、頷いた。
「合格です。素晴らしい。よくここで止めましたね。……では、これを」
そう言って筒状の物を取り出して、ピンを抜くと彼等に向けて転がした。その瞬間に、三宅、雄介は下を向き耳を塞いだ。
パン!と言う大音響と黄色い閃光が辺りを黄色くする。三宅は特殊閃光弾を投げた。士官達の動きが止まる。
耳がキーンと鳴りながら二人は廊下を駆け出す。
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