クライシス
だが、そこまで聞いた瞬間に雄介は胸が締め付けられた。ツダがそんな機密情報を伝えると言う事は、自分は本当に日本には戻れないんだな……。そう思った。
「ミスター市橋」
 ツダが雄介を見る。そして、ポケットから一つのカプセル状の薬を取り出し、それを雄介に渡した。
「即効性の毒薬だ。唾液に混ざると一瞬で溶けて数秒で死ぬ。苦しみも少ない」
 雄介はツダを見つめる。
「飲みたい場所で、好きな時に飲めば良い。申し訳ないが、私にはこれ位しか出来ない」
 ツダが呟いた。雄介はそれをポケットにしまうと笑った。
「ありがとうございます」
 そう言って雄介は右手を差し出した。ツダも右手を差し出す。二人は固く握手をした。

















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