クライシス
―― 一月一日九時二十五分 東京都千代田区首相官邸――
 新年早々、国家安全保障会議のメンバーは会議室に集まっていた。いや、昨晩からずっといた。
 全員が疲れた顔をしている。年越しを会議室で迎えたのだ。彼らはセレス次官からの連絡を待っていた。
 北朝鮮に潜入した三人が作戦を実行して、セレス次官と落ち合うのが午前七時。その結果の連絡を待っていた。
 全員が何も話さない。ただ黙って結果報告を待ち受ける。
 遅い。落ち合ってから二時間半が経過している。連絡はまだか?全員がそう思っていた矢先であった。
 桜井総理の目の前の電話機が鳴った。全員が電話機を見る。桜井は一呼吸置いて、受話器を取った。
「はい、桜井です」
 全員が桜井を注目する。
「うん。繋いでくれ」
 そう言うと桜井は受話器を塞ぎ、全員に言った。
「セレス次官だ」
 全員が息を飲む。
「もしもし……はい。この度はありがとうございます。はい――」
 桜井の額には汗が滲んでいた。



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