クライシス
誰かが生唾を飲む音が聞こえた。シーンとした状態で桜井総理の相槌の声だけが響いている。
そして、桜井が目を見開いた。
「そうですか!市橋が届けてくれましか!」
その瞬間に会議場内に歓声が上がった。全員が隣の者と抱き合う。篠原長官は目に涙を浮かべた。楠木は一人歓声を上げずにただ、黙って桜井を見つめていた。
「はい!はい……そうですか。場所に現れたのは、市橋だけ」
桜井総理の声が弱まった。その声を聞き、全員の歓声が静まり返った。
「ええ。ええ。で、市橋は?はい――」
桜井は顔を上げた。
「毒薬を。そうですか。重ね重ね、御配慮痛み入ります」
桜井の言葉に全員が息を飲んだ。楠木は目頭を押さえる。
「はい。では、お待ちしております」
そう言って桜井は電話を切った。全員が桜井を見つめていた。桜井は息を吐くと座席に深く座った。そして全員を見る。
「……待ち合わせ場所に到達出来たのは、市橋一人だけだったらしい。そして、随行員は市橋に毒薬を渡した。苦しむ事の無いように、との事だ」
その言葉に大臣、各省の事務次官、長官……オブザーバー役の学者達、秘書官、全てが黙り込んでいた。この場所に居る五十名程の人間達が皆黙り込む。以前に「仕方が無い」と発言した大臣も何も言わない。
その時、沈黙を破るように声が上がった。
そして、桜井が目を見開いた。
「そうですか!市橋が届けてくれましか!」
その瞬間に会議場内に歓声が上がった。全員が隣の者と抱き合う。篠原長官は目に涙を浮かべた。楠木は一人歓声を上げずにただ、黙って桜井を見つめていた。
「はい!はい……そうですか。場所に現れたのは、市橋だけ」
桜井総理の声が弱まった。その声を聞き、全員の歓声が静まり返った。
「ええ。ええ。で、市橋は?はい――」
桜井は顔を上げた。
「毒薬を。そうですか。重ね重ね、御配慮痛み入ります」
桜井の言葉に全員が息を飲んだ。楠木は目頭を押さえる。
「はい。では、お待ちしております」
そう言って桜井は電話を切った。全員が桜井を見つめていた。桜井は息を吐くと座席に深く座った。そして全員を見る。
「……待ち合わせ場所に到達出来たのは、市橋一人だけだったらしい。そして、随行員は市橋に毒薬を渡した。苦しむ事の無いように、との事だ」
その言葉に大臣、各省の事務次官、長官……オブザーバー役の学者達、秘書官、全てが黙り込んでいた。この場所に居る五十名程の人間達が皆黙り込む。以前に「仕方が無い」と発言した大臣も何も言わない。
その時、沈黙を破るように声が上がった。