クライシス
「我が国は日本と本気で事を構える気は無い。それは委員長同志も同じ気持ちだ」
「じゃあ、なんで?」
 雄介は疑問が沸く。
「いずれ分かる。だから君は日本に戻りテロを阻止して欲しい。そうすれば、我々は首謀者を断罪出来る」
 チェがそう言うと、雄介は頷いた。
「分かりました。ありがとうございます。あ、そうだ。これを教えて欲しいんですが、北朝鮮にはレッドスノウはいくつ有るんですか?」
「私が知る限り、サンプルがあと一本だと聞いた」
「やはり……あ、そうだ。シルヴィって知ってますか?」
「シルヴィ?」
「ええ。今回のサンプルを北朝鮮に渡した日本人の女らしいんですが」
「……それは初耳だ。分かった。それも調べておこう」
「ありがとうございます」
 雄介はそう言ってドアの所へ行く。そしてもう一度振り返った。
「二谷さんと三宅さんを、よろしく頼みます……!」
「ああ、約束しよう……!」
 雄介はその返事を聞くと笑った。そしてドアを出た。
 ドアから出てホテルの外に行く。そして車に近付く。
 コンコン。窓ガラスを叩いた。運転手がドアを開ける。
「チェ同志にお使いを頼まれた。車を貸してくれ」
 雄介がそう言うと運転手は雄介にキーを渡す。他の兵士達は各々休憩をしている。誰も雄介の事を見ていない。
 雄介はエンジンをかけるとサイドブレーキを下ろし車を発信させた。雄介の胸に再び緊張感が出て来た。それは、生きる希望から、だ。






< 210 / 274 >

この作品をシェア

pagetop