クライシス
血が流れるのを感じた。


頬から血が流れていた。


「外したか・・・」


その軍人が再び銃を構える。


本気だ・・・


本気で殺される。


二谷は圧倒的な力の前に成す術が無かった・・・


軍人が銃を二谷の頭部に狙いを定めた。


二谷は・・・目を閉じた・・・




その時であった・・・




「何をしている!」




大きな声が響いた。


その声に二谷は目を開く。


奥の路地から別の軍人が歩いて来た。


その軍人に二人は慌てて敬礼する。


どうやら上役の軍人らしい。


「何をしているか!」


もう一度上役の軍人は二人に言った。


「いえ・・・」


二人は言葉を濁す。


まさか、賄賂を受け取った上に強盗をしようとしていたとは言えまい・・・


二人の軍人は下を向いて何も言わない。


上役は二谷をチラリと見た後に、二人を見る。


「ならば、戻れ」


上役の言葉に二人は顔を上げた。


「いや・・・しかし・・・」


二人は戻らない。


それはそうだろう。今、戻って二谷に先程の話をされたらマズイ。


二人は冷や汗をかいていた。


上役をそれを察したのか・・・ニヤリと笑った。
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