クライシス
−11月15日13:15−

東京都八王子市・・・


昨晩から降り出した雨は、まだ降り止まなかった。


二谷は交通課の自席に座り考え込んでいた。


ウイルス兵器のテロが起きる可能性がある・・・


二谷は独身であった。


公安の仕事をしていると、周りの全てが嘘に見えてしまう。


そんな心で結婚など出来る筈も無かった。


だが、後悔はしてない。


そんな独身貴族でもテロは起きて欲しく無い理由がある。


妹の子供・・・甥と姪がいる。


その二人はカワイイ。


ずっと我が子の様に接して来たし、二人も二谷に懐いてくれていた。


テロが起きると、もちろん二人にも危険が及ぶ。


昨日、二谷は一人で街中を歩いた。


『キジ』からの連絡は全く無い。


キジはいつも突然連絡をくれる。


有る時は街中で歩いているカップルが、いきなり連絡先の紙を渡して来たり、有る時は小包の中に携帯電話が入っていたりと・・・


連絡方法は様々であった。


だが、それもここ10年は連絡が全く無かった。

理由は分からない。


二谷はそれでもキジと連絡を取ろうとして、昨日も連絡を受けた事が有る場所に向かったりもした。


が、全く連絡は無い。


その予感すら無い。
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