クライシス
自分より上が大目玉を食らわすより先に軽い叱責で終わらしたい、と言う親心だ。


重苦しい雰囲気が会議室に広がる。


赤木はペンの後ろでテーブルを叩く。


その時、会議室の真ん中辺りから手が上がった。


気が付いた赤木がよく見ると手を挙げてるのは、若い一課員の井上であった。


「どうした?」


赤木が尋ねると井上は立ち上がり頭をかいた。


「あの・・・ちょっと外事課の川村管理官にお聞きしたいんですけど・・・」


「何でしょう?」


赤木の隣に座る川村がマイクを握った。


「あの、マルヒは海外へ逃亡した事は・・・考えられないんですか?」


その言葉に川村は、


「まず有りません・・・出国管理課でもカメラを確認しましたが、全国の国際空港、フェリー乗り場・・・一切情報は無いです」


そう答えた。


井上は頭を再びかいた。


「それに工作員が日本を出るメリットが無いです・・・もし日本を出ていれば、それはそれでテロの可能性が弱まり・・・安心出来ます」


川村の言葉に赤木も頷く。


「あ・・・いや、俺が言いたいのは・・・そう言う事や無くて・・・」


井上がモゴモゴと話す。


「井上・・・ちゃんと言え!」


赤木が鋭く言う。


「はい・・・あの、治外法権・・・とか?」
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