私だけのスーパーマン
『では、また明日』
お店を出るとき、泉さんはそう言って微笑んだ。
「はい。また」
そう答えたものの、本当は決めていたんだ。
明日、大学へは行かない。
まだ…逃げていたいんだ。
目の前にある現実から。
いつかは受け入れなくちゃいけないことは分かっている。
でも、もう少し…もう少しだけ時間が欲しい。
「綾。今日はありがとね。」
私のマンションの前。
綾は微笑む。
「まあいいってことよ。
その代わり、ちゃんと明日来なさいよ」
私は返事をしず、笑って誤魔化す。
綾は困ったように眉を下げたが
「じゃ、明日ね」
と、言って帰って行く。
そんな綾の背中に呟いた。
「ごめんね…」