かけがえのない唄

やっぱりあたしは一番最初のファンだなーって思った。



──第3話









どうしても
どうしても



越えられない壁がある。
それも高く高く聳える、見えない壁。



見えなくても存在感はありすぎる、壁。





ねぇ、どうしたらいいの?



幼なじみで
恋人だからって。
芸能人と一般人。



立場が違い過ぎるよ…



純が、ジュンが。
健ちゃんが、ケンが。
悟が、サトルが。




眩しすぎるぐらい輝いて見える。



目の前のステージ上で歌ってる三人が、あたしの知らない、三人の気がするんだ。





あたしが一番近くにいるって思ってたのに……



ねぇ、あたしを
置いて行かないで……



四人みんな揃わなきゃ、幼なじみ組じゃねーな、って言ってくれたじゃんか……




寂し、淋し過ぎるよ…
あたしには、耐えられないよ…



でもあたしは三人のファンだから。



一番最初のファンだから



歌う事、音楽を奏でること…




止めないで欲しい。



置いて行かないで欲しいのに
音楽を止めないで欲しい



矛盾だらけのあたしの心。



あたしの中で答えなんか出なくてぐるぐるぐるぐる同じ考えが回るんだ。



無限大、ループ。




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