テクノケイション
彼女は先ほど崩れたビルの奥にある、隠し扉を解放する。


地下に続く螺旋状の宙に浮いたガラスの階段、ピンスポットが二人を照らす。埃の代わりに音の粒子が浮遊し、衝突を繰り返しては不協和音を散らかす。


最後の酷く高い一段を、エスカレーターの動きで降りる。


その先の壁に、彼女が円を描くよう指先を這わせると空間が歪み穴が出来た。


「入って」


穴に下半身を滑らせたまま手を伸ばしている。


共に滑り込む。


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