青春の蒼いカケラ
ああふるさと編
飛行機で行った。後はタクシーで行った。前もって連絡したので、大いに喜んでくれた。さしあたり、仏壇に十万年包んでおいた。母が死に父が自殺した後、伯父さんと伯母さんが旅館を経営していた。良くもてなしてくれた。墓参りにも行った。立派なものだった。
「どうだ、嫁さん候補はいるのか?」伯父さんが聞いた
「いるにはいるんだが足が不住なんだ」
「そうか旅館に戻る気は無いか」
「うん」
それっきりで話が途絶えた。
なおとはのりちゃんのうちへ挨拶に行った。のりちゃんは両親がいない。
のりちゃんの母の妹さんに会いに行った。
「御免ください」
「は~い」
「こんちは」
「あら、井上さんじゃないの、どうしたの」
「のりちゃんのけがのことは・・・」
「聞いてますよ、どうしたの」
「のりちゃんを、お嫁さんにください」
叔母さんはびっくりしたらしい、今はもう精神障害者なのだ。それに、足も不住、そんなのりちゃんをお嫁さんにと、事情は説明した。わかってもらえたようだ。その足で伯父さんと伯母さんに挨拶して東京へと戻った。

久しぶりに上北沢のアパートへ戻った。夏の日差しがさしていた。窓を開けた。心地よい風が吹いていた。その夜缶ビールと薬を飲んで寝てしまった。
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