【短編】少年と少女と美術館の龍
夜空の龍
濃い目の紺が世界に夜の帳を落とす。


夜になっても空に雲は現れず満点の星空と満月が闇夜を照らしていた。


静かな夜だ。


ルーティエは町外れの小高い丘の頂上で満月を眺めていた。


満月が映えるこんな夜は静謐がよく似合う。柔らかな月光の下ルーティエはそんな事を思う。


夜は全ての生き物が等しく無音と言う揺りかごに身をゆだねる。


不思議な感覚になる。


まるでルーティエを残して世界が死んでしまったのかと錯覚してしまう。
< 12 / 27 >

この作品をシェア

pagetop