【短編】少年と少女と美術館の龍
ルーティエは無意識のうちに拝むように手を合わせていた。


アーネルは無事だろうか。


無事に、怪我なんてせず『龍』を助け出せただろうか。


いや、もし助けられても『龍』がアーネルを襲わない保証なんてない。


考えれば考えればほど悪い想像は膨らむ。


駄目だ駄目だ。弱気になっちゃいけない。しゃんとしなきゃ。


ルーティエは自らに言い聞かせる。だが弱気の連鎖は止まらない。
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