【短編】少年と少女と美術館の龍
怒号とライトの光が近付いてきた。


最悪のイメージが頭をよぎる。体が震える。歯が噛み合わずガチガチと音を立て不安を掻き立てる。


緊張がピークに達する。その時


不意に月光が消えた。雲が遮った?


いや、そんなはずはない。さっきまで雲はただの一つもなかったのだ。


ルーティエは目を細めて満月を仰ぐ。何だ?


徐々に暗がりが大きくなっていく。


……違う。何かが私の真上から降下して来てる。


木々がざわめく。


まるで降りてくる何かを歓迎するかのように。
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