【短編】少年と少女と美術館の龍
終章
幾重ものライトと男達の野太い声がルーティエを見つけ出したのはアーネルと『龍』が夜空に消えてすぐである。


恰幅のいい彼らは皆一様にルーティエの存在に困惑している。


彼らは仲間内で口々に状況把握と、理解の進展を求め、なかなかにやかましい。


ルーティエは今日で何度目だろうか、ため息をついた。


そのうち烏合の集と化した男達を分け入って一人の身なりのいい紳士がルーティエに歩み寄ってきた。


ルーティエの父である。
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