【短編】少年と少女と美術館の龍
「ルーティエ、一体何故お前がここにいる?」


それは厳めしさと困惑、それに怒りが滲んでいるような声だった。


皆の視線がルーティエに集まる。ライトもルーティエを向く。


眩しい。何も見えやしない。だけど皆が私を訝しんでいるのはわかる。


でもだからどうした?


私は何故ここに残った?


伝える為だ。覚悟は出来てる。


ルーティエはその緑眼で父を見上げた。


唾を一つ嚥下する。


「皆に聴いてもらいたい事があるのーー……」
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