ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
ドキドキしながら彼が口を開くのを待つ。
するとそれは意外なものだった。
「あのさ…、俺、結婚してるんだ…」
「え…?」
想定外の返事に困惑を隠せなかった。
…なんだ、
そうだったんだ…。
大事な人、いたんだ…。
彼とのこれまでのやり取りを全部思い出して、泣きそうになった。
…私、バカだ。
ひとりで勝手に舞い上がってさ…。
どうしよう…。
今言ったこと、全部撤回した方がいいのかな…。
「ごめんなさい…。あの、私、そうとは知らず、こんなふうに誘っちゃって…」
「いや…、別にそれは構わないんだけど…」
「ごめんなさい…、私帰ります…」
泣きそうになるのをこらえながら席を立つ。
…荷物を持って急いで部屋を出ようとしたときだった。
「ちょっと待って…!」
彼に腕をつかまれ、私はその場に立ち尽くした。
「あのさ…」
彼は少し間をおいて続けた。
「もし条件を飲んでくれるんなら、こっちも君に応えられると思うんだけど…」
「え…?」