ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
そんな毎日を送っていたら、あっという間に年が明け、劇団の定期公演会の日がやって来た。
今回大きな役をもらえた私は、家族や友人、職場の同僚にまで芝居の宣伝をしていた。
他の土地への転勤が決まれば、この劇団にいられるのも今公演が最後になる。
私は今までにない緊張感を持って舞台に臨んだ。
開演直前。
袖でみんなで円陣を組むと、私達はみんなで気合を入れ合った。
ベルが鳴り、客電が落ちる。
緞帳が上がると音楽が流れ、
暗闇の中にスポットライトに照らされたウシオがひとり浮かび上がった。
明かりがつき、他の役者も出てきて芝居が始まると、
私は最初のセリフを頭に浮かべながら、自分の登場シーンを待った。
そのシーンが来ると、これでもかというテンションで舞台に上がった。
ライトが目に痛かった。
1月だというのにステージは真夏のように熱くて、汗がだらだら流れてくる。
袖に引っ込む度に鏡を見ながら、化粧が崩れてないかチェックした。