ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
やっぱり私は、
好きな人の隣に立つことができない女なのかな…。
舞台の上だけでなく、
現実の生活でも、
私がウシオの世界に入ることはできないんだ…。
そう思いながらウシオばかり見つめていたら、
プロンプ係がおろそかになって、
途中何度も「マユコ!プロンプは?!」と、ガンさんに怒鳴られてしまった。
次回公演が近いせいか、ガンさんはひどく気が立っていて、その口調は普段よりずっと汚かった。
ウシオの目の前でそんなふうに怒らないでよと思うと、
恥ずかしくて情けなくて、涙が出そうだった。
…こう自分を否定されると、
改めて自分はウシオと同じ土俵に立てない人間なんだと悟ってしまう…。
好きな人に見合えない自分という人間が、どうしようもなく悲しかった。