涙は煌く虹の如く
「……フゥ……フゥ……」
おそらくは村杉と思しき男の息遣いのみが聞こえる。
「クッ…!」
その音は丈也をひどく不快な気分にさせるものだった。
「ズカズカ……」
意を決した丈也は確実な意志を持って部屋へと歩を進めた。
「……!?」
廊下を右に曲がって飛び込んできた光景に驚く丈也。
広さにして10畳はゆうにあろうかという部屋の奥には丈也から見て左側を頭にしてベッドが配置されており、手前の右方に丸テーブル、椅子、冷蔵庫などがあり左側にはテレビが鎮座していた。
窓は右側にあった。
「………」
椅子には村杉の脱いだスーツが彼がたたんだとは思えないほど几帳面に整理されて置いてあった。
それとは対照的に美久の見慣れた薄水色のワンピース、下着が無造作に床に放り出されていた。
よほど乱暴に扱われたらしくワンピースも下着もひどく破れていた。
「ギシギシギシ……」
「……フゥ……フゥ……」
ベッドの上で醜怪な声を立てているのは村杉。
ベッドの軋む音が丈也の不快感に拍車をかける。
「モゾモゾモゾ…」
「……フゥ……フゥ……」
行為に夢中で丈也が侵入したことすら気づかない村杉。
「………」
その下には全く声を上げることもせず、動くこともせず、口を半開きにしたままただひたすら虚空を見つめるだけの美久がいた。
美久の顔を良く見ると泣き腫らした目をしていたが涙はもう流していなかった。
そして、相当抵抗したらしく口の端から血が一筋流れており、両の頬も明らかに叩かれた痕があった。
時既に遅かった。
美久は村杉に蹂躙されてしまったのだ。
「コクッ…」
不意に美久が首を右に傾けた。
「……丈ちゃん……!」
空虚な美久の目に生気が宿り、彼女自身責められても上げることのなかった声が出た。
「アァ…!?」
村杉が怒声を上げて振り向く。
「……おめぇ…こんなとこまで…」
その村井の言葉が終わるか終わらないかだった。
「シュウッ…!」
丈也は飛び出した。
「ドゴォッ……!」
今まで出したことのないような最高の力で右足を繰り出した。
靴を履いたままの足は的確に村杉の顔面を捕らえる。
「ブギャァァァァッ!」
獣のような声を上げた村杉。
おそらくは村杉と思しき男の息遣いのみが聞こえる。
「クッ…!」
その音は丈也をひどく不快な気分にさせるものだった。
「ズカズカ……」
意を決した丈也は確実な意志を持って部屋へと歩を進めた。
「……!?」
廊下を右に曲がって飛び込んできた光景に驚く丈也。
広さにして10畳はゆうにあろうかという部屋の奥には丈也から見て左側を頭にしてベッドが配置されており、手前の右方に丸テーブル、椅子、冷蔵庫などがあり左側にはテレビが鎮座していた。
窓は右側にあった。
「………」
椅子には村杉の脱いだスーツが彼がたたんだとは思えないほど几帳面に整理されて置いてあった。
それとは対照的に美久の見慣れた薄水色のワンピース、下着が無造作に床に放り出されていた。
よほど乱暴に扱われたらしくワンピースも下着もひどく破れていた。
「ギシギシギシ……」
「……フゥ……フゥ……」
ベッドの上で醜怪な声を立てているのは村杉。
ベッドの軋む音が丈也の不快感に拍車をかける。
「モゾモゾモゾ…」
「……フゥ……フゥ……」
行為に夢中で丈也が侵入したことすら気づかない村杉。
「………」
その下には全く声を上げることもせず、動くこともせず、口を半開きにしたままただひたすら虚空を見つめるだけの美久がいた。
美久の顔を良く見ると泣き腫らした目をしていたが涙はもう流していなかった。
そして、相当抵抗したらしく口の端から血が一筋流れており、両の頬も明らかに叩かれた痕があった。
時既に遅かった。
美久は村杉に蹂躙されてしまったのだ。
「コクッ…」
不意に美久が首を右に傾けた。
「……丈ちゃん……!」
空虚な美久の目に生気が宿り、彼女自身責められても上げることのなかった声が出た。
「アァ…!?」
村杉が怒声を上げて振り向く。
「……おめぇ…こんなとこまで…」
その村井の言葉が終わるか終わらないかだった。
「シュウッ…!」
丈也は飛び出した。
「ドゴォッ……!」
今まで出したことのないような最高の力で右足を繰り出した。
靴を履いたままの足は的確に村杉の顔面を捕らえる。
「ブギャァァァァッ!」
獣のような声を上げた村杉。