ハイスクールラブ
重田から連絡があったのは期末テストも終わり、夏休みに入ってからだった。
何もすることがなく、街をぶらぶらと歩いていた時に携帯が鳴った。

「連絡遅くなってごめんね。今日、大丈夫?会って話したいんだけど」
「・・・うん!どこに行ったらいい?」
「店の裏にさ、でかい駐車場があるんだけど知ってる?そこで待ってる。黒い車。デートしよーぜぃ」
「わかった。すぐ行くね!」

真奈美は電話を切って急いで地下鉄に乗るため階段を降りた。
重田は話してくれる。そう確信していた。
心臓がドキドキする。うまく走れなく、転びそうになる。

(藤くん・・・藤くん・・・)

心の中で紘季を思い、真奈美は電車に乗った。



重田は黒い外車で登場した。
助手席に座る。外車は初めてだった。

「しげちゃん、すごい車乗ってるんだね」
「どうしてもボクにあげたいっていう女の人がいてねえ」

重田は冗談ぽく返した。

「・・・どこに行くの?」
「んー・・・とりあえず高尾山?」
「なんで高尾山!?」

真奈美は笑った。

「えー??知らないの?今、熱いんですよ。高尾山は」

そう言ってアクセルをふかした。
真奈美の体が革張りのシートに沈む。
しばらくは他愛もない話をして過ごす。
重田が何も切り出さないので、真奈美も何も聞かなかった。

高速に乗って、しばらくした時だった。

「紘季はねえ、演じてるんだ」

突然重田が話し始めた。

「・・・演じてる?」
「死んでしまったダチの代わりをして生きてるんだ」

真奈美は「死」という言葉にドキリとした。
< 39 / 74 >

この作品をシェア

pagetop