ハイスクールラブ
「まあさ、若いうちに死ぬ奴はたくさんいるよな。俺だって、知り合いで10代のうちに死んだやついるしさ。世の中にはたくさんいるんだ。うん」

重田はまっすぐ前を見つめて言った。真奈美は黙って聞いていた。

重田の話はこうだった。

紘季はもともと、ずっと明るく、やんちゃで、馬鹿なことばかりするような少年だった。重田も含め、仲間はみんな同じようなタイプだった。
高校生になって、学校は別々になっても一緒に遊んでいた。

ある日、紘季が高校の友達を連れてきた。

すごく真面目そうで、優しい顔の少年だった。とても紘季と仲良くなるようなタイプの人間ではない。それでも二人は気が合って、学校ではいつも一緒にいるのだという。
二人が仲良くなったきっかけは音楽だった。たまたま下北沢のライブハウスで顔を合わせ、仲良くなったのだという。

それ以来、全くタイプの異なる二人は無二の親友となり、その関係は高校を卒業してからも続いた。

それは6月29日に起こった。紘季たちは19歳だった。

紘季と少年は、少年の運転で高速道路を使い、千葉に向かっていた。海外の有名アーティストのコンサートに行くためだった。

まだ免許を取り立ての少年は左車線を適度なスピードで走る。
右車線を大きなトラックがごうごうと音をたてて走っていた。

並んで走るのを嫌がった少年が車のスピードを緩めた、その時だった。
トラックがゆっくりと紘季たちの車めがけて倒れてきた。

あっという間だった。

次の瞬間、無数のガラス破片が紘季たちを襲い、車から投げ出されそうな振動と
ドオン!ガシャン!バキバキバキバキ!・・・すさまじい音が響いた。

紘季は咄嗟に体を丸め、腕で頭を抱えていた。
目をぎゅっと瞑り、振動と音がやむのを待った。

「あ・・・くぅ・・・!!」

車体に体が挟まれ、身動きが取れない。太ももと腰が異様に痛い。
紘季は少年に声をかけようと顔を横に向ける・・・。

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