ジェンガたちの誤算
中学の卒業式には中等部の在校生全員が参加するため、
春休みを前に登校日が定められて卒業式の練習をするのだった。

中高一貫のため、卒業したら【エスカレーター】式に高校に入学する。

そのため中学の卒業式に緊張感は皆無で、
本当にただの儀式なんだということが練習の時点でよく分かった。

だから私は、それよりも3日ほど前に執り行われる
高等部の卒業式が待ち遠しかった。

新年度より生徒会副会長になる私は中等部代表でそれに出席し、
【餞の言葉】を読むため中等部の練習の後も、個別に練習をしていた。

私の後に高等部の副会長が【在校生代表の挨拶】をし、
対馬先輩が【答辞】を読む。

外部の大学へ進学が決まっている対馬先輩と同じ舞台に立てるのは、
それが最後だったから、私は練習を退屈に感じることがなかった。
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