da capo
「こんなことされたら、頑張るしかないじゃない……」

レイは1人呟いて、ぐちゃぐちゃになった顔を拭いて、家を飛び出したの。

彼が置いていった楽譜の山と、決心を抱えて、ね。



そして、息を切らせながらバーに飛び込んだわ。

まだ村上さんはマスターと話していた。

レイは勢い良く頭を下げて、叫んだの。

「よろしくお願いします!!」

ってね。

村上さんは眼鏡の奥の目をまん丸くして、それから

「こちらこそ、よろしくお願いします」

って、歯を見せてニッと笑ったわ。



それから、レイは歌手デビューを果たして念願の夢を叶えたのよ。



ヒロくんと過ごした日々を胸に、彼との大切な歌を抱えてね。

もう、ヒロくんと会うことはなかったんだけど……。

大好きな歌を歌い続けたの。
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