好きだからBLの恋
「やった~、完成だぁ~」

 ばんざーいの格好をしたまま、奏多がひっくりかえる。
 他の2人もとても嬉しそうだ。

「お疲れ様」
「後は、あの2人が終わるまでは無罪放免だ」
「家に帰ったらまず寝る!! そっこーで寝る!」

 奏多の宣言の声がよほど大きかったのか、久音が降りてきて顔を出した。

「終わったのか?」
「うん」
「風人、2人の家はどこだ?」
「大隈町だけど・・・」
「じゃあ、2人を家まで送るから、車を出してくる。支度が出来たら出てきなさい」

 ジャケットを着て、金属音をさせて手に持つ。
 もちろん、その音は車のかぎの音だ。

 3人は迅速に片付けをし始める。

 久音が家から出るのを確認すると、風人が大きく息を吐いた。

「何だ。ため息か?」
「何とか、兄貴に優子のことバレずにすみそうだと思ってさ」
「そんなことより、お兄さん、車で送ってくれるって言っていたけど、甘えちゃっていいの?」
「いいんじゃねぇ。兄貴、運転好きだし」
「すげぇー眠いから、ありがたいよな?」
「うん」

 あと少しだけバレなければ大丈夫だという安心感と、レポートが終わったことで3人の表情は明るい。

 そして、結局久音にバレることなく、2人は家まで送ってもらったのだった。
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