answerS
二人はそんな僕の話を黙って聞き続けてくれる。
「でもね、広くて暗い部屋に一人で居ると余計なことまで沢山考えて…疲れちゃって。
暮羽さんはそんな僕の緩んだ気持ちに気づいてたんだろうね…きっと」
だからここから居なくなったんだよ、そう言う僕にチカは難しい顔をしてシッキョウは考えるように僕から視線を外した。
二人にはムズカシイ話かも知れないな…
真実をストレートに言えば、すべてを諦めてどこか腑抜けてしまった僕を暮羽さんが切り捨てたって事なんだけど。
そんな事…自分の口から言いたくはなかった。
「…だから今は何も考えないようにしてる。変にあれこれ考えると経験上知りたくもない事に気づいたりするからね」
そう言う僕にチカはふーん…と曖昧な返事を返してきた。
僕の話はここで終わり。
もう一度気を引き締めようと話を今後の訓練計画に移した。
でも本当の事を言うと僕はさっき発覚した新事実に内心かなり動揺していた。
今まで人を殺したことがない?
多分それは単純に健全なボディーガードや用心棒を育てているというだけか、もしくはこのヘブンズハウスを出た後、実戦で覚えていけばいいと言う考えなのだろう。
彼らはまだ若いからそれは十分に納得できる話だ。
僕は自分を基準にして考えてしまっていて、当然何回かは人を殺したことがあるものだと馬鹿な思い込みをしていたようだ。