answerS

「今日、チカに僕が酷い顔してるって…本気で心配されたんだ」


“チカって言う子は優しいんだな”


優しいなんてモノじゃないよ。


彼は真っ白なんだ。


“そんなに…見てわかる程に…ツライのか?”


僕の表情が余り豊かで無いことをアレジはよく知っているからチカが僕の異変に気づいた事に少し驚いているみたいだった。


「ツラく無いって言ったら嘘になるけど、…これ位まだ耐えられる範囲だよ」


“…そうか…”


受話器越しにアレジが目元を押さえている姿が見えたような気がした。


「そう言えばノイローは?後ろが静かだけど」


僕のことで頭を痛めて欲しくなくて慌てて話をそらす。


“今、星男がウチに来ていてノイローにリオの使い方を習ってる。ほら夢太途中で居なくなっただろ?”


あぁ、そうだった…すっかり忘れてた、ゴメン星男。


“あ、今上にあがって来たから変わるな?”


受話器の向こうでアレジが二人を呼ぶ声が聞こえる。


バタバタと電話に走り寄る足音が聞こえたと思ったら、ゼェゼェと息をきらせた星男の明るい声が耳に飛びこんできた。


“…夢太君ひどいっすよー、まだリオの使い方マスターしてないのにー”

甘えるように聞こえる星男の独特の声に自然と笑みがこぼれる。


ごめんね星男、忘れてた。


そう言うと星男はえーっ?!と落胆する叫び声をあげた。


その声が面白くてまた笑ってしまう。


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