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暮羽さんをこうやって憎しみと恐怖の目で見上げるのは何度目だろう。
余程僕の表情が滑稽だったのだろう、暮羽さんは哀れみの目を僕に向けた。
「そんな顔で俺を見るな。まるで俺がお前を取って食うみたいじゃないか」
淡々とした口調が恐怖を煽り、僕の体に重いくさりをつなげた。
僕はアレジとノイローと暮らしてきて得たモノが沢山ある。
それは此処で得ることが出来なかったもの全てだ。
思いやりや優しさ
何が人として正しくて何が間違いなのか
自分が人を殺す事しか能がない
それを取ったら存在価値が残らないような生き物ではないと言うこと。
僕という人間が存在してもいいんだと言う自信。
2人はここの牢獄しか知らなかった僕の世界を広げてくれた。
「よく…平気でいられますね」
普通に愛情を与えられて育った人間なら命の重さを知っている筈なのに。