answerS
「…ちょっと夢太さん」
階段を降り、小さなスペースで動き廻る僕にシッキョウが声をかけた。
「なに?ごめん暗い所嫌だよね」
えーとっ制御室ってどうやって開けるんだったかな。
「暗闇位で怖がったりしませんよ、違くて…何でアンタはこんな所に部屋がある事を知ってる…?」
そっか…普通の子は暗闇怖くないんだ…
僕は未だに少し怖かったりするから何だか情けない。
「何でって…過去に使った事があるからかな、…直ぐに使わなくなったけど」
僕が制御室と赤い文字で書かれたドアを押したり引いたりしながらそう返事を返すと、シッキョウは…ふーん、と曖昧な言葉を発する。
「…夢太さっきから何やってんの?このドアを開けたいのか?」
訓練のくの字もしない内から既になにやら汗だくになっている僕を見かねてか、チカがドアと格闘している僕の元に近づいてきた。
「そうなんだけど…どうやって開けるか忘れちゃってっ」
さっきここでも監視カメラを見つけたから暮羽さんに後でこの事で嫌味の一つも貰うかもしれない。
「この黄色い矢印って何だよ?」
「黄色い矢印?」
チカが指差す先には確かに黄色い矢印。
あぁ…何て僕は馬鹿なんだろう。
灯台もと暗しとはまさしくこの事だ。
「チカ、ありがとう」
何だかチカにはお礼ばかり言っている気がする。
僕は自分の足で踏みかけていたイビツな黄色い矢印の先にある丸い出っ張りを踏んづけた。