あなたが一番欲しかった言葉
「ううん、いいよ、気にしてないから」

真梨子の言葉に、さらに自己嫌悪になる。

「ヨシ君、横に来て」

差し伸べた両手に導かれながら、真梨子の傍らに寝そべった。

裸の胸元に腕を絡ませながら真梨子は「あたしはこうしているだけで」と囁いた。

「こうしてヨシ君に抱かれているだけで、幸せな気持ちになれる」

同じ気持ちだった。

もちろん真梨子とひとつに結ばれたい。そう願う気持ちは強い。
けれど、こうして抱きしめるだけで、十分に満たされる気持ち。

これが愛情というものなのか。
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