あなたが一番欲しかった言葉
「イサム君、さっき、『詩のついてない曲が半分残っている』って言ったわよね。
その曲を、全部あたしに書かせてもらえないかしら?」

「ええ~!?」

思いもよらない真梨子の提案に、今度は僕とイサムの方が驚いた。


「い、いや、それは、どうかな・・・」


判断がつかず、口ごもるイサム。


「だめかしら? 
そうよね、歌って自分の想いですものね。心情を綴るのが歌なんだから、やっぱり自分で詩は書きたいよね」

真梨子は本心から寂しそうにしていた。

「そりゃもちろん、自分の言葉で書きたいって気持ちはある。
でも、ただ、詩が書けないというのはほんとのことなんだ。
う~ん・・・じゃ真梨子、お願いしてもいいかな」

「えっ、ほんと、いいの?!」

綺麗な白い歯を見せて、真梨子がにっこりと微笑んだ。
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