あなたが一番欲しかった言葉
数日後・・・


「俺と真梨子ってさ、出会うべくして出会ったような気がするんだ。
ソウルメイトって言葉があるじゃん。魂の繋がりなんていったら大げさかな」

イサムは興奮していた。

深夜にかかってきた電話は、真梨子がいかに素敵な詩を書くか、どうして俺の気持ちが分かるのか、等々、延々彼女を褒め称える内容に終始した。


大げさだろうに・・・僕は心の中でつぶやく。


当然イサムは、僕と真梨子が付き合っていることを知っている。


イサムにしてみればただ単純に、自分の曲に詩を付けてくれた真梨子を絶賛しているだけ。共鳴しているだけなのだ。

彼女に恋心を抱いたとか、僕に対する嫌がらせとか、そういった感情は一切ない。

あいつはそんなピュアな人間なのだ。

口数の少ない僕の心情をまったく分からないでいるイサムは、一方的に話したかと思うと「そろそろ寝るわ」と、あっさりと電話を切ってしまった。

なんて勝手な・・・。
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