あなたが一番欲しかった言葉
「すぐそっちに行きます。おばさん家で待っていてください!」

行かなきゃ、病院へ行かなければ。

暗がりの中、壁かけ時計を探した。
夜光塗料で妖しく光る針が、3時40分を指していた。

僕は車のキーを握り締め、スウェット上下のまま、革ジャンだけを羽織って家を飛び出した。



真梨子とイサムが運ばれた先は、街で一番大きい大学病院だった。

慌しく車を止め、真梨子の母親と2人で、救急の出入り口に駆け込んだ。
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