あなたが一番欲しかった言葉
首が痛いくらいに空を見上げたまま、真梨子は目を閉じ、大きく息を吸い込んだ。

「潮の、いい香りがする」

僕は、真梨子の手を握り締め、またそっと抱きしめた。

「このままずっと抱きしめていたいよ」

「あたしも」

僕の胸の顔を押し付けたまま、真梨子はくぐもった声で返事をする。


何度もキスを繰り返しながら、そっと胸のふくらみに手を伸ばすと、真梨子は「あっ」と小さな声を漏らした。

唇へのキスを徐々に下へ、顎から首筋に移動し、服の上から胸に口づけをした。

「はぁ・・ヨシ君、だめよ、それ以上は」

真梨子は逃げるようにして、僕から体を離した。
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