あなたが一番欲しかった言葉
「ごめん・・・ごめんね。少し俺、急ぎすぎたみたいだ」

気まずさを悟られぬよう、努めて冷静に言ったつもりだが、心の中は「拒まれた」ことへの羞恥心で一杯だった。

馬鹿だ俺は、何をしてるんだ。

「・・・ううん、あたしこそごめん。ちょっと、びっくりしたから」

視線を合わせないまま、俯いたままで真梨子がつぶやく。
口の中、苦いものがこみ上げる。

「ファミレスでも行こうか。何か温かいものでも飲んでから帰ろう」

真梨子は黙って頷いた。
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