彼が彼女になった理由(ワケ)
『いやー、やっぱオスは動きが早いなぁ…』

綾斗は窓の外を見ながらそう呟く。
ってか、オスって決め付けてるし。

『さてと。 馬鹿な綾斗は放っといて、トイレでも行こっか。』

私は望に声をかけて席を立った。
クスクスと笑いながら望も席を立つ。

『ちょお待てって…』

綾斗が追いかけてくるけど、そんなの無視。
だって賭けの答えは出ない。
私にも綾斗にも鳥のオスメスを見分ける知識なんて無いのだから。

『悪かった、悪ノリしすぎたってば。』

手を合わせ、謝る綾斗にようやく足を止める。

『お詫びにこれやるからさ!』

そして1枚の紙を手渡された。

『…映画のチケット…?』

それは最近、駅前に出来たばかりの映画館の無料券。

『何で綾斗が…』
『うちの弟がクジで当ててさ。 貰ったっつーか…拝借したみたいな…』

つまり兄の権力で奪ったってわけね…

『今日の放課後5時集合な! 遅れんなよ。』
『は? 遅れんなって…』

まさか綾斗が一緒に?
何で?
綾斗となら見たいって子、いっぱいいるのに…

『綾斗、何で…って…』

もういないし!
なんて落ち着きのない男なんだ。

『綾斗くん必死だねぇ、夏波の事!』

望はからかうようにヒジで私をつついてくるし。

…どうしよっかなぁ…
チケット。
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